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[パク・ユヒのスクリーン散歩] 悲しい離別の前で子供は育つ

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[釜山日報 2010-01-07 08:45]

ウェディングドレス

世の中で一番悲しい映画なら、何といっても ママが子供を残して死ぬ映画だろう。 いくら淡々とした性格も、あるいは今回は決して泣かないだろうと きつく決心しても、ママと子供の永訣場面の前では、涙鼻水流さないわけにはいかないのが人の常だ。

それで、カタルシスを望む観客のために、ママの死をモチーフでする映画は 反復的に製作されてきた。 “ママいない空の下”(1977)から、最近の映画“ハーブ”“ヘジャ”に至るまで、思い浮かぶままに羅列してみても、その退屈しない頻度を察することができる。 「ウェディングドレス」(監督クォン・ヒョンジン)は、その派閥に属する映画だ。 それで、素材面では新しいことがないと言っても、過言ではない。

しかし、いつもカギになるのは、何の話かと言うよりは どんな話かだ。 なじむ素材を扱って、どこに焦点を置いていて、どのように解いていくかによって、新しくない話でも、新しい映画が可能になる。 映画は、ウェディングドレスデザイナーで目が回るほど忙しいシングルマム コウン(ソン・ユナ)が、娘ソラ(キム・ヒャンギ)のために、いつも出来なかった事を一つずつすることで始める。

雨の降る日 学校にソラを連れに行って、遠足の海苔巻きを直接包んで、ソラと二人きりで海辺に旅行に出発する。 そしてその理由は、コウンが倒れて病院に載せられて行きながら、まもなく現れる。 彼女は胃癌末期患者で、すでに死を予備していたのだ。

このように、この映画は 死を既定事実化したまま始めることによって、不治の病という運命を知ることになるまでの時間と感情を短縮する。 それと共に、自然に 話の焦点は、ママの死を予感する子供ソラに移される。 今までの映画が、幼い子供を置いて行かなければならないママの心に重きを置いたとすれば、この映画は、ママを送らなければならない子供の立場に より焦点を合わせたということに新鮮さがある。

ソラは、自身がママの病気を知っているということを隠すことで、ママに対する配慮を始める。 そして、ママのために潔癖症を克服して、バレエ公演をして、友達と交わって、一人立ちをしていく。 そういうソラの行動は、「ママにソラは贈り物だけど、ソラにママも贈り物だろうか」というコウンの“悲しい質問”に対する、ソラの“凛々しい返事”と言うことができる。 それでこの映画は、催涙性離別映画よりは、希望的な成長映画だ。 映画の題名でもある“ウェディングドレス”は、離別以前に一緒にいたことだけでも、お互いに十分な贈り物だったのを含蓄する優しいメタファーだ。

映画評論家

byどんぶらこ
by yoonaroom | 2010-01-12 18:50 | Comments(0)